打ち上げ・打ち下ろしの距離 —— 何ヤード足すか、なぜ目安がずれるか

先に結論:打ち上げは高低差ぶんをそのまま距離に足す。打ち下ろしは同じだけ引いてはいけません —— 落下角度が立って転がりが減るため、伸びる量は上りで失う量ほど大きくならず、目安の半分〜7割を引くくらいが外しません。

打ち上げのホールで大きくショートする、打ち下ろしでグリーンを大きく越える —— これは 腕前より距離の見積もり方の問題であることが多いです。

まず水平距離と高低差を分ける

GPSやコースガイドが示す距離は、通常水平距離です。そこに高低差の補正を自分で足すことになります。

この二つを混ぜたまま「なんとなく上っているから一番手上げる」と判断すると、 高低差が3メートルでも15メートルでも同じ対応になってしまいます。 数字として分けて把握するのが最初の一歩です。

よく使われる目安

最も広く使われている簡便法は、高低差をそのまま距離に加算するというものです。

状況水平距離高低差計算上の距離
打ち上げ150ヤード+10ヤード160ヤード相当
打ち下ろし150ヤード−10ヤード145ヤード前後(後述)

これは物理的に厳密な式ではなく、平均的な弾道を前提にした経験則です。 実際のツアー用の弾道計算はもっと複雑ですが、コース上で暗算する用途ではこの程度で足ります。

打ち下ろしを同じだけ引いてはいけない

ここが最も間違えやすいところです。上りと下りは対称ではありません。

打ち下ろしでは、ボールは落下しながら進むぶん飛距離が伸びますが、 同時に落下角度が立つため、転がりが減って止まりやすくなります。 結果として、伸びる量は打ち上げで失う量ほど大きくなりません。

実務的には、打ち上げは目安どおり足し、打ち下ろしは目安の半分〜7割程度を引くくらいが 外しにくいとされます。下りで大きく引きすぎてショートするのは、よくあるミスです。

弾道の高さで効き方が変わる

同じ10ヤードの打ち上げでも、影響の受け方は人によって違います。

  • 高い球を打つ人 —— 頂点が高く、落下が上から入るため、打ち上げの影響を受けにくい
  • 低い球を打つ人 —— 上りの斜面に「刺さる」形になり、影響を強く受ける

ですので、目安をそのまま使って毎回ショートするなら、自分用に係数を少し大きくすればよく、 逆に毎回オーバーするなら小さくします。目安は出発点であって、正解ではありません。

なお、この補正が意味を持つのは番手ごとの距離が実測で分かっている場合だけです (自分の飛距離の知り方)。

打ち上げが最も極端に出るのが砲台グリーンで、そこではショートが二重に罰されます (砲台グリーンの攻め方)。

高低差そのものが分からない問題

ここまでの話は全部、高低差の数字が分かっている前提です。 実際には、目視で「けっこう上っている」以上のことはまず分かりません。 特に打ち下ろしは、実際より緩く見えることが知られています。

なお競技では、高低差を測る機能そのものが使用できません(ゴルフ規則 4.3a)。 補正後の「実質何ヤード」を出す機能だけでなく、高低差の数値を表示すること自体が対象です。

ただし機器そのものが禁止されるわけではなく、その機能をオフにしていれば、同じ機器で 水平距離を測るのは問題ありません。オフにできない機種は競技では使えません。 普段のラウンドでは制限はないので、練習ラウンドで自分用の係数を掴んでおくとよいでしょう。 詳しくは GPS距離計とレーザー距離計の違い にまとめています。

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